音楽に対する共感覚
みなさんは共感覚という言葉を知っていますか?
感覚のうち1つを使って得られた情報が、
ほかの感覚にもリンクするようなものです。
例えば、
ド の音を聞いて白色が思い浮かぶとか。
池袋 と聞いて、緑色が思い浮かぶとか。
ハードな共感覚の持ち主だと、
ピアノの音が人の声のように聴こえる、
なんていうケースもあります。
これは芸術の世界では、度々話題に上がるもので、比較的稀な能力であるとされているために、
一般の方から羨ましがられたりします。
まぁ、クラシック音楽をする上で直接的に何かの役にたつわけではないのですが…。
僕も強いものでこそありませんが共感覚はあって、なにかを体感したりする度に別の五感の発想が生まれてきては、あ、これ共感覚だ、なんていう風に感じたりしています。結構楽しいですよ。
この共感覚があることの利点というと、それはケースバイケースで色々あると思うのですが、大きなところでいうと、技術習得に役立つのかなと思っています。(脳科学的には記憶力に役立つという説もあるようですが。)
何故そう思うか?
技術を体得する際に必要なことは、経験を積むことです。
一度言われたことを一度で出来るケースはごく稀で、それを継続して出来続けるケースはもっと稀です。
なにかを体得するには、技術を得るプロセスが必要なのです。
人はそのプロセスを経験と呼ぶのかなと思いますが、その道のりというのは人それぞれ、千差万別といえるかもしれません。
経験にメソッドはないのです。
しかし、共感覚的素質を持っていると、
1つのことに対していくつかの感覚を得られるので、お得です。
自分の中の点を点で結んでいって、線が作られて、絵になったりするような感じでしょうか。
似た感覚としてゲシュタルト効果があります。
ゲシュタルト崩壊という言葉は案外馴染みが深いかもしれません。
同じ文字を書き続けたり見続けたりしていると、その文字がその文字として認識できなくなってくるというやつです。
その逆がゲシュタルト効果で、上記しましたように、いくつもの点が線で結ばれていくような感覚です。
共感覚とゲシュタルトは別物ですが、似ているところもあるように僕は感じます。
共感覚があると楽しいのは、音楽を音楽でなく聴くことが出来るところです。
つまりは、音としての聴覚的な認識はもちろん出来ますが、それ以外の認識もできるんです。
例えば、
いくつかの音を聴いて、風景が見える
それも共感覚なんだと思います。
とある音楽家の方は、音楽をにおいで表現してました。香ってくる(薫ってくる?)というような言い方をしたりしてました。
これは僕もよくわかります。匂いを嗅ぐ時のような感覚は、音楽の中に隠れているのです。
僕自身はどのように音楽をどのように感じているのかというと、
いやぁ、なんとも一概にはいえませんが、
風かな、と思います。
外に出てる時にぜひ感じてみて欲しいんですけど、
風が吹いているときって、ぴゅ〜くらいの気持ちいいやつや、ぶおおおんみたいなやつまで、いろーんな種類があって、しかも切れ目がないんですよね。
ぴゅ〜
しーん
…
ぶぶぶおおおおおおん!!!
みたいな風、って普通は吹かないじゃないですか。(異常気象ですよね)
ぴゅ〜〜…〜おおおおん
みたいな感じでなんとなく途切れ目なく吹いてるんですよね。
だけど抑揚というか、重さ軽さのあるあたり。
そういったところに、音楽と風の共通点を感じているのかなと思います。
ふと思ったのですが、
オペラの最中の、ソロナンバーのことをアリアといいます。
これはイタリア語でAria、英語でいうとair、つまり空気です。
風と空気…どことなく似ている。
というところで今日はおひらき。
またお会いしましょう^_^
3/10(日)文法・文化の違いから紐解く欧米歌曲
次回のうたせみはこちら!
文法や文化の違いにフォーカスし、我々日本人がクラシックを歌う際の課題を紐解きます。
たまに誤解がありますが「欧米」とは米国に限らず西洋(欧州)を含みます。
そこで今回は、
歌の聖地・イタリアロマン派の作曲家F.P.トスティを取り上げて勉強してゆきます。
今回はソロの曲を取り上げますが、
実はこのアプローチは合唱にも非常に有効です。
というのも、よく合唱で歌われるレクイエムやミサの典礼文は欧米の言葉のイントネーションとほぼ同じラテン語で構成されており、
作曲家もバッハやモーツァルトなどをはじめとした欧米人(西洋人)が多いからです。
普段のあなたの音楽にきっと役立ちます!
〜うたせみの講義の流れ〜
・取り上げる曲を講師が演奏
・その音楽の解釈や、具体的なアプローチの仕方をボード等に書きながらお教えします。
・言葉の読みなどをやりながら、音をつけて皆さんにも斉唱で取り組んでいただきます。
・最後ご希望の方がいらっしゃれば一部を歌っていただく または 全員で歌って講義の成果や課題を確認する。
・解散後、講義室の時間の許す限り各自質疑応答を受け付けます!
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こぞってご参加ください☺️